普段何気なく口にしている「水」。
今や、ホテルやレストランのメニューには当たり前のようにオンリストされていて、自宅でミネラルウォーターを飲む方も多いはず。
毎日のようにテイスティングするワインとは違い「水」と真剣に向き合う機会はソムリエでもなかなかありません。
そんな中、モトックス様のご協力のもと、チームメンバー向けにコンラッド東京でオンリストされているミネラルウォーターの中から、アクアパンナとサンペレグリノにフォーカスしたスタッフトレーニングを行いました。
ミネラルウォーターに関する知識に加え、ミネラルウォーターが果たす役割、サービス方法、実際に白ワイン、赤ワイン、水道水を交えてのテイスティングを行い、体験を通してその違いを探るという興味深い内容。
ミネラルウォーターの歴史は古く、古代ギリシャ人はミネラルウォーターに病気を治す効果があると考えられていたといいます。学者の中でもミネラルウォーターに対する興味が高まり、1500年代にレオナルド ダ ヴィンチがサンペレグリノの水源地を訪れたという記録が残っているほど。
ワインを語るときに必ずと言っていいほど出てくる「テロワール」という言葉。
ミネラルウォーターにもテロワールがあり、水源によって味わいの違いがあるといいます。雨や雷、自然の水が地中に溶け込んで何年もかけて岩や地層に含まれるカルシウムやマグネシウムを取り込み、採水される年によっては微妙に味わいが異なることもあるとか。
サンペレグリノは約30年間、旅をしたミネラルウォーター、アクアパンナに関しても、採水されるまで10〜15年かかるといいます。
テイスティングでは、ミネラルウォーターと水道水、白ワインと赤ワインを交互に飲み、口中での味わい、香り、余韻にどのような影響を及ぼすかというもの。
一般的に白ワインに合うアクアパンナ、赤ワインに合うサンペレグリノと言われていますが、実際にテイスティングしてみて、白ワインを飲んだ後にアクアパンナを飲むと、その滑らかなテクスチャーがワインの余韻の邪魔をせず、白ワインの特徴である柑橘類の香りを綺麗に残し、水道水とは明らかに違う結果に。
赤ワインの後にサンペレグリノを飲むと、赤ワインのタンニン分がきめ細やかな泡によって調和され、より滑らかな口当たりになり、タンニン分によって隠れていたフルーツの香りをより感じることができました。
ワインを飲む前にミネラルウォーターを飲めば、口中をリフレッシュする効果があり、よりワインを美味しく味わえるように。
普段なかなか注目することがない、ミネラルウォーター。
しかし、レストランで最初にサービスされるのもミネラルウォーターであり、テーブルを立つその時まで、テーブルに残っているのもまたミネラルウォーターなのです。ダイニング体験をともにすると言っても過言ではない名脇役。
ワインを選ぶように、ミネラルウォーターを選ぶのもまたレストランで過ごす時間を豊かにしてくれるかもしれません。
今回、大変興味深いセミナーをしてくださったモトックスの芥川様、本当にありがとうございました。
ソムリエ
富満 勇希
05 Oct, 2018