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コンラッドで楽しみたい熟成ワイン

コンラッドで楽しみたい熟成ワイン

いよいよ2013年も残すところあと少し。年末に近づくと熟成感溢れるグランヴァンが恋しくなるのは、私だけでしょうか?
ワインの楽しみ方は千差万別ですが、熟成のピークを迎えた得も言われぬ味わいに舌鼓を打ち、そのワインが生まれた時代に想いを馳せる時間というのは、ワイン愛好家ならずとも楽しくて仕方がないひとときです。しかし、熟成したワインというのは、そもそもどういうものなのでしょう?
ワインの熟成とは堅苦しく言うと「醗酵終了直後の濁りなどの不安定な外観、不快な臭い、荒々しい味が時間の経過とともに消失し、色調の安定化、香味の複雑さと柔らかさが増し、付加価値を上昇させる劇的な変化のこと。このような時間系列の酒質変化の現象を総括したもの(ワインの事典:大塚兼一、山本博監修 柴田書店 2003年より)」とあります。
日本語では”熟成”という一語で表されますが、フランス語では瓶に詰める前に樽の中で保管するプロセスである”Elevage(エレバージュ=育成)”、瓶に詰めて保管するプロセスの”Vieillissement(ヴィエイスマン=加齢)”の二つに分けて認識されています。また、英語も同様で、前者をMaturation、後者をAgingと区別しています。人間で例えるならば、少年・少女に対して多くの個性を持たせ、素晴らしい大人に育てていく期間がエレバージュ、年を重ねて人生のピークに向けて加齢していく期間がヴィエイスマンと言えるかもしれません。人それぞれのピーク(成熟点)が違うように、ワインにもそれぞれのピーク(飲み頃)があるのは当然です。よく「このワインはポテンシャルが高い!」というコメントを聞きますが、この場合の”ポテンシャル”とは熟成する可能性、つまりどれだけ長くかけてピークに達するかを示しているのです。
赤ワインの場合、熟成した時に出てくる香りには何種類かあり、ドライフルーツに加えて、
ランシオ香と呼ばれる香りと枯れ葉や腐葉土などの香りが、典型的な例として挙げられます。
(古いポートワインやコニャックなどにみられる香りです)。また、枯れ葉や腐葉土の香りが赤ワインでいう究極の香り、黒トリュフに変化していくと言われており、熟成のピークを迎えた赤ワインには必ずと言って良いほどこれらの香りが感じられます。また、味わいでは「角が取れる」、「丸くなる」、「溶け込む」、「練れる」、「熟れる」といった表現が多く使われるようになります。そのワインの味わいが前述のような状態にあり、すべてがバランスの良い状態にあるというのが、ワイン生産者だけでなくソムリエや一般の消費者の誰しもが、熟成したワインに抱く理想の姿だと言えます。
ワインの醍醐味とは長い年月をかけてゆっくりと変わりゆく香りや味わいを楽しむこと。
そして、ワインの熟成とは人間がタイムシーンを発明できない代わりに、天から与えられた過去へタイムスリップする唯一の方法と考えるとこんなに楽しいことはありません。
オープンから4カ月というスピードでミシュランの1つ星を獲得したコラージュにて、是非とも熟成感溢れるグランヴァンの素晴らしさを発見して頂ければと思います。
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ヘッドソムリエ 森  覚

12 Dec, 2013

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