満開の桜は次第に葉桜へと変わり、都内も次第に暖かくなってまいりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。ソムリエの浦崎です。
今回は去る3月22日(水)に日本料理「風花」で行われた、オーストリアの生産者様をお二方お招きしたディナーイベントの模様をお伝えいたします。
カンプタール、ランゲンロイスの名門ユルチッチよりアルウィン・ユルチッチ氏とホイリゲのリーディングプロデューサーであるツァーヘルより、アレクサンダー・ツァーヘル氏をお招きした一夜限りのスペシャルイベント。今回も統括料理長、田村による天才的なチューニングにより、オーストリアワインの魅力を存分にお楽しみいただけるひとときとなりました。
オーストリアワインは、何種類もの料理が大皿でテーブルの中央に置かれる食文化の影響もあって、1つのワインで幅広い料理と合わせられる素養を持っています。そのワインの代表格とも言えるのが、ゲミシュターサッツ。ヴィーナー・ゲミシュター・サッツと言えば、ウィーンにおける混植混醸ワインのこと。異なる葡萄品種を同じ畑の中に混植し、共存させる独特の手法です。品種に限らず同じ日に収穫し、醗酵させます。この手法でできあがったワインは香りを取るたび、味わうたびに異なる表情を見せてくれる、不思議な魅力にあふれています。
ツァーヘルのワインは9品種の葡萄が交わった多層的な味わいを感じることができます。スパークリングワインから始まり、2021のヴィーナー・ゲミシュター・サッツ、2017のシングルヴィンヤードのゲミシュター サッツ カースグラーベンDACを同時に提供し、比較していただくという珍しいラインナップをお楽しみいただきました。
カンプタールの名門、ユルチッチのワインはオーストリアの代表品種グリューナーヴェルトリーナー、リースリング、ツヴァイゲルトそれぞれの個性が十二分に感じられるリード(シングルヴィンヤード)のワインをお召し上がりいただきました。特にツヴァイゲルト・リード・タンツァーはヴィンテージが2013年で10年熟成したワイン。優しくも滋味深いワインの味わいが葱味噌焼きにしたやまゆり豚とピタリとハマっていました。
今回参加してくださった皆様からは質問が終始飛び交い、アルウィン氏、アレクサンダー氏からも熱のこもったオーストリアのワイン、文化の話に花を咲かせていました。お二方とも、ずーっとお話されておりました。笑
私、常々感じておりますが、ワインをサーブしながら「隣に座って話を聞きたいな~」なんて…
コンラッド東京では、今回サーブしたワイン以外にも多彩なオーストリアワインをご用意しております。心地良い苦みを持った春のお野菜にピッタリなオーストリアの素晴らしいワインを素敵な食事のお供に添えてみてはいかがでしょうか。
お約束の、写真下手の私に手本を見せてくれる森本ソムリエールで締めたいと思います。
ソムリエ
浦崎 隆宏
11 Apr, 2023