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ボンド メーカーズ ディナー開催レポート

ボンド メーカーズ ディナー開催レポート

第2の故郷はナパヴァレー、プロガー(プロ+ブロガー)の富滿です。

「来年ボンドのダイレクターが国内のプロモーションのため来日します。コンラッド東京でイベントを検討してくれませんか?」昨年の秋頃、輸入元である中川ワイン様から突然のご連絡が入りました。それから約1年にわたり綿密に準備を進めた私のボンド計画、その全容をご紹介いたします。イベントの会場となったのはコンラッド東京 モダンフレンチ「コラージュ」。ゲストに今回が初来日となったボンドのダイレクターであるマックス・カースト氏を招いて開催いたしました。

 

 

ボンドと言えばナパヴァレーが誇る伝説的生産者、ハーラン・エステートが設立したその兄弟ブランド。ナパヴァレーの数あるカルトワイン(希少性が高く高品質で高価格、カルト的な人気を誇るワインの総称)の中でも絶対的な存在感でその地位を確立した、ナパヴァレーを代表するワイナリーのひとつです。前述したハーラン・エステートが巧みなブレンドによってそのエステートの真髄を表現するボルドー的なワイン造りを行うのに対し、ボンドは単一畑からカベルネ・ソーヴィニヨンのみを用いてナパヴァレー各地のテロワールの個性を表現するブルゴーニュ的なアプローチを取っています。

 

 

ボンドのポートフォリオはセカンドワインの位置付けの「メイトリアーク」を除けば5種類のみ、約25年もの歳月を掛けて選び抜かれたナパヴァレー各地に散らばるグランクリュに値すると言われる畑から造られているのです。生産量は少なく日本に入って来る本数は極僅かです。加えて各キュヴェは1本15万円を超える高級ワイン・・・。テイスティングする機会はなかなかありません。現地のワイナリーは基本的に訪問お断り。オーナーであるビル・ハーランには私は一度しかお目にかかったことがありません(遠くから)。とにかく謎のベールに包まれており神秘的なボンドですが、今回その全貌を紐解くべく、メイトリアークを含むボンドの現行ヴィンテージを全5種、そして蔵出しの貴重なバックヴィンテージも合わせ計7種類ものボンドをマックス氏に徹底的に解説していただきました。

 

(ナパヴァレーのマップにそれぞれのワインが造られている畑の位置にボトルを置いたもの)

 

イベントは18名様満席でキャンセル待ちが出るほどの大反響をいただきました。ナパヴァレーを網羅するかのように各地に点在するボンドの畑。5種類のボンドを一挙に比較することでその違いが明確になり、テロワールの特徴が浮き彫りになります。決して単体に向き合うだけでは到達しえない、ナパヴァレーの全容が見えてくるのです。マックス氏からは「ボンドをワインリストに載せるなら最低でも2~3種類は載せてください。」と言われました。(エグゼクティヴ ソムリエの森本に相談させてください。)

赤ワインしか造っていないワイナリーということで、コラージュの影山シェフの頭を悩ませたのは言うまでもありません。何度も打ち合わせや試作を重ね、ワインを引き立てつつ、お客様にもペアリングを存分に楽しんでいただきたいという私のわがままをシェフの思考とともに見事にコースに表現してくれました。今回コースの中でも特に力を入れたのはメインディッシュ。新たな試みとしてメインのお肉料理に合わせて、5種類の異なるコンディメントを用意してもらいました。

 

(左から 黒胡椒とヘーゼルナッツのピューレ、クローヴ+スターアニス+シナモンのビーツピューレ、グロゼイユのコンフィチュール、プルーンの味噌漬け、マッシュルームのデュクセル)

 

それぞれのワインと5種のコンディメントを組み合わせ、25通りのペアリングを楽しんでいただくことができました。このペアリングに正解はなく、お客様にベストな組み合わせを楽しみながら見つけていただきたい、そんなイメージで作りました。メーカーズディナーにおける主役はあくまでワイン、お料理は引き立て役という認識で構成を考えていますが、参加されたお客様からはお料理に関するお褒めの言葉を多くいただき、影山シェフがボンドに向き合ってきた時間が報われた瞬間でもありました。言うまでもなくイベントは大盛況のうちに幕を閉じました。参加された皆様、本当にありがとうございました。

 

 

今回ゲストとして迎えたマックス氏は、来日してからさまざまなプロモーション活動を行っており、分刻みのハードスケジュールをこなしていたにも関わらず、そんな素振りは一切見せずお客様ファーストなその立ち居振る舞いに温かい人柄を感じました。今後のソムリエ人生においてこんなにもたくさんのボンドに囲まれることはもう二度とないだろうと幸せを噛み締めながら、私の長きに渡る壮大な計画もまたたくさんの方々に対する感謝の気持ちとともに幕を下ろしました。

 

ナパヴァレーの生産者を招いて開催するワインイベントは今回が今年最後となりましたが、コンラッド東京では今後もまだまだ素敵な生産者を招いたワインイベントを予定しています。

 

まるき葡萄酒メーカーズディナー(11月13日開催)
https://conrad-tokyo.hiltonjapan.co.jp/plans/restaurants/dinner/chinablue-2511-2

 

皆様にお会いできることをソムリエチーム一同楽しみにお待ちしております。

ソムリエ
富滿 勇希

 

24 Oct, 2025

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