今年ヒルトン・ワールドワイドは日本進出50周年を迎え、コンラッド東京でもさまざまなプランをご用意してこの機会をお祝いしています。今回は、ヒルトン・ワールドワイドと同じく歴史を重ねた1963年のすばらしいポートワインについてご紹介したいと思います。
ワレは長い年月にわたり、ポートワインの第一人者として印象深いワインを生産してきました。19~20世紀、ワレは1870年、1887年、1896年、最高品質の1904年、伝説的な1908年をはじめ、この上なくすばらしいヴィンテージ・ポートを生み出しました。これらは世界のワイン史上においてポートの地位を確立するにあたっても重要な役割を果たしたと言えるでしょう。
ワレのヴィンテージ・ポートはバランスとエレガントさにおいて比類のないワインです。他のヴィンテージ・ポートはふくよかさという点において少々強過ぎるとも言えるのですが、ワレのヴィンテージ・ワインはヴィンテージ・ポート特有のふくよかさを保ちながらも、エレガントで余韻が長く、とてもバランスが良いのが特徴です。
この卓越したスタイルはワレの2つの主要なヴィンヤードであるキンタ・ダ・カヴァディーニャとキンタ・ド・レティーロ・アンティーゴのブドウの特徴を受け継いでいると言えるでしょう。お互いのブドウの特徴を上手く引き立たせています。カヴァディーニャの立地、気候、標高のため低い気温の中でブドウが熟し、フレッシュでわずかな花のような香りが上品で、理想的な酸はワインの品質を長く保つ役割を担っています。一方、レティーロ・アンティーゴはより気温が高いリオ・トルト・ヴァレーに位置し、ヴィンヤードの70%以上は古く、接木したブドウの木で構成されており、力強く、濃厚で複雑味をもつブドウを生産します。またパワフルなストラクチャーは耐久性という面においても影響を及ぼしています。
この先数年はキンタ・ダ・テリャーダのブドウが少しずつ足され、最も完成されたヴィンテージ・ポートのひとつであるドウロ地域のワインにより深い味わいをもたらすことでしょう。良い年のトゥリガ・ナシオナルを多く使用することで、このヴィンヤードは将来のワレのヴィンテージに絶大な価値を与える存在になりつつあります。
ソムリエ
ニコラ・クロン
17 Jul, 2013