冬の寒気が身にしみる頃となりましたが皆さまいかがお過ごしでしょうか?久しぶりに筆を取らせていただきました波田野です。
去る11月27日にモダンフレンチ「コラージュ」にて開催した「中央葡萄酒 グレイスワイン メーカーズディナー」の様子をお伝えいたします。ゲストスピーカーとしてお越しいただいたのは、世界的に注目を集めるワイン醸造家の三澤彩奈氏。中央葡萄酒 グレイスワインは、2023年に創業100周年を迎えた山梨県の家族経営のワイナリー。風土の表現に重きを置き、中でも甲州は世界中で愛されており、甲州のワインを世界に認知させた立役者として名を馳せています。
今回のアイテムはこちら!
2014 Cuvée Misawa Grace Blanc de Blancs
2023 Grace Rosé
2020 Koshu Misawa Vineyard
2015 Cuvée Misawa Akeno Koshu
2017 Cuvée Misawa Blanc Magnum
2015 Cuvée Misawa Private Reserve Magnum
乾杯は2014 キュヴェ 三澤 グレイス ブラン ドゥ ブランでスタート。マイヤーレモン、オレンジ、グラニースミスアップルなどの果実と可憐な花香、トースト香が調和しており、ほんのりと花の蜜のような香りと縦に伸びるような凛とした酸の強さは、コントラストが美しく会のスタートを華やかに彩ってくれました。
また、北海道産ホタテのマリネ/根セロリ/カリフラワーでは
2020 三澤 甲州
2015 キュヴェ 三澤 明野 甲州
をご用意。通常の甲州ですとホタテはコハク酸があるので合わせるのが難しいのですが、彩奈さんの甲州とは相性が良く影山シェフや彩奈さんとも相談してホタテをご用意しました。
2015年は収穫期の天候に恵まれず熟すのが難しいとされる甲州をはじめ、晩熟系のカベルネソーヴィニヨンなどの品種が良く熟したグレートヴィンテージ。そして2020年は『キュヴェ 三澤 明野 甲州』から『三澤 甲州』に変わった年。
補糖、補酸、シュール・リーなど、これまで必要とされてきた醸造の技巧に頼ることなく、収量を通常の甲州の半分以下に抑え、畑の土着酵母(ピエドキューブ)を使って仕込むなど、栽培から醸造に至るまで、ブドウの可能性を最大限に引き出した彩奈さんにとって思い入れのある貴重なヴィンテージ。甲州では珍しいマロラクティック発酵が自然に生起され、これまでの甲州とは一線を画す味わいに仕上がっています。
甘夏のような爽やかな柑橘の香りの中に、リンゴ、洋なし、アカシアを思わせる香りと、心地よい酸が輪郭となり豊かな果実と調和し、後半にかけては仄かな苦味を伴う旨味と酸がしなやかに続く味わいに会場の温度が一段と暖かくなるのを感じました。
そして、最後メインを彩るのは2015 キュヴェ 三澤 プライベート マグナム。こちらは50本しか生産されていない蔵出しのたいへん貴重なもの・・・。今回のために2本もご用意くださり、会場からも驚きの声が溢れました!
実は、今回のメーカーズディナーに先立ち、実際に明野農場を訪問させていただきました。周りを富士山や南アルプスをはじめとする雄大な山々に囲まれ茅ヶ岳山麓に位置する畑は、自然の豊かさと、彩奈さんの手によって丹精込めてつくられた息を呑むような美しさが共存しており、方角を示す際は東西南北ではなくその方向にある山で表現するというお話も伺いました。その土地に根付く習慣や土地と共存することこそがテロワールなのだと改めて感じることができました。私にとっても学びの多いメーカーズディナーとなりました。
またイベントに際し、ホームページへアップ後のご予約開始前からたくさんの方からのお問い合わせをいただき、あっという間の早さで満席、キャンセル待ちとなり、より多くの皆様にお会いしたかったという思いと、これだけたくさんのファンがいらっしゃる中央葡萄酒 グレイスワインの彩奈さんとイベントを開催できとても光栄に思いました。
今回で今年のワインイベントは最後となりましたが、また来年もワインイベントを開催してまいりますので、皆様にお会いできるのを楽しみにしております。今後ともよろしくお願いいたします。
ソムリエ 波田野
17 Dec, 2024