期間中、拠点をソノマ郡にある、ヒールズバーグに置き、車を走らせワイナリーを回りました。
3日目はベイエリア北部のカリストガから。
まるで、フランスのシャトーを思わせるような佇まい。
1976年に行われた伝説的なパリテイスティング(フランスワインvsカリフォルニアワイン)においてシャルドネ部門で優勝し、「Napa」の名を世界に広める転機を作った「シャトー・モンテレーナ」。
1882年にアルフレッド・タブスという人物によって建てられたシャトー、庭には池があり、中国風の庭園が広がっています。
庭を散歩しているだけで、とても優雅な気持ちになる、素晴らしい景観。
テイスティングしたアイテムは5種類。
パリテイスティングで1位に輝いたとあって、圧倒的に人気なのはシャルドネから造られる白ワイン。
ちなみに当時1位に輝いた1973年ビンテージのシャルドネはセラーに数本眠っているそうです。
今回テイスティングした「シャルドネ 2016」は熟成にブルゴーニュの樽を使用し、新樽比率は10%、残りは古樽、樽のニュアンスが絶妙で上品、マロラクティック発酵をしていないとあって、シャープで綺麗な酸味。ピュリニー・モンラッシェのようなイメージと仰っていたのが印象的でした。
実は私が楽しみにしていたのは、モンテレーナの赤ワイン。「ジンファンデル 2015」はスミレの花を思わせるような香りに、甘みと酸味のバランスが取れた上品な味わい。「カベルネ ソーヴィニョン エステート ナパ バレー 2015」も共通してエレガントなスタイル。シャルドネで世界的にその名を知られたモンテレーナですが、赤ワインも非常に高い評価を受けています。
ここで、カリフォルニアワインに大きな影響を与える霧について、私が体験したことを少しご紹介したいと思います。
この写真は標高が高い霧の上から撮影したものですが、早朝このような霧が一面を覆います。
暖かい空気は上に上昇し、太平洋からの湿気を含んだ冷涼な空気が引き込まれて霧が発生するわけですが、この霧、肉眼でも確認出来る程の細かいミストのようになっていて、夏の期間中全く雨が降らないこの地のブドウに適度な水分を与えます。そして、カリフォルニアの強い日差しを抑える効果があり、気温も下げるのです。
標高が高いブドウ畑は霧はかかりませんから、当然、終日強い日差しを受け、力強く、ストラクチャーの強いワインが生まれます。一方霧に覆われるブドウ畑は午前中、強い日差しから守られ、柔らかくタンニン分も優しいワインが生まれるわけです。勿論例外もありますし、地形によっては午後近くまで霧が残る所もあったり、霧が晴れやすいところがあったり、霧の動きも複雑で、奥深さを感じる事が出来ます。
カリフォルニアワインを語る上で必ずと言っていいほど出てくる「霧」。
今回この霧を肌で感じることが出来たのは自身にとって非常に大きな収穫になったと思っていますし、改めてワインに与える影響力が大きいことを確信しました。
まだまだ旅は続きます…
ソムリエ
富滿 勇希
13 Aug, 2019