皆さん、はじめまして。
バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」の宮地信吾です。
私は、先日、「バカルディ レガシー カクテル コンペティション 2017」日本大会に参加いたしました。そのことについて書きたいと思います。
これは2008年からスタートした大会で、日本大会は2016年に続き二回目の開催でした。これから多くの歴史を刻んでいくと同時に、多くのレガシーカクテルを生み出していくことになるでしょう。
同コンペティションのコンセプトは「継承」です。すなわち、この先永遠に受け継がれていく「次世代スタンダードカクテル」を創り出していくことです。世界中で飲まれるマティーニやギムレット、マンハッタンなどがその一例にあたります。
私にとって、「スタンダードカクテル」とは、現代におけるミクソロジストを生み出した全ての原点であります。ベースとなるスピリッツ、酸味、そして甘味。このたった3つの要素に、星の数ほど存在するお酒やソフトドリンク、フレッシュフルーツやリキュール、そしてシロップなどを当てはめることにより、世界にたった1つしかないカクテルを生み出すことができます。たとえバーテンダー5人が1つのカクテルを同じレシピで、更にメジャーを使用してカクテルを調合したとしても、その味わいは5通り。なぜなら、そこには熟知した商品知識と技術と経験が絡み合うからだと今でも思っています。なぜシェークするのか、なぜステアするのか、なぜ冷やすのか、なぜ常温なのか、なぜその銘柄なのか。たった1杯の作品を生み出すときに、考えて突き詰める要素は掘り起こせばいくらでも出てきます。そしてそれは、まさに十人十色です。だからこそ、同じ味は1つとして存在しません。基本はしっかりと身につけ、その上で自身の「持論」を積み重ねていく。何層にも重なり合うミルフィーユのような深い味わいを自身の「キャリア」として表現していくことができると思っています。私はこのバーデンダーの「代わりがいない」というところに魅力を強く感じています。
今回考案した「MARIPOSA」というカクテルは、「何か飲んだことある味だけど、ん?違う!新しい味だね!」という、懐かしさと未来の両方を感じていただけるレシピに仕上げたいと思いました。
また、日本大会に参加するにあたり、日本から世界に向けて発信する気持ちを込め、和柑橘をレシピに取り入れたいと思い、優しい酸味にどこかエレガントな味わいを生み出す「すだち」を選びました。そして自家製カモミールシロップ。カモミールの花言葉は「逆境で生まれる力」。これから先、いくつものレガシーカクテルが生まれる中、ぶれることなく「MARIPOSA」の魅力を伝え続けていくと誓いをこめた渾身の一杯です。ぜひお試しいただけると幸いです。「トゥエンティエイト」にて皆さんのお越しをお待ちしています。
バー&ラウンジ「トゥエンティエイト」
宮地信吾
21 Feb, 2017